こんにちは。
本記事では、広告運用者なら誰しもが触れる機会のある自動入札について話そうと思います。みなさんは普段運用されているアカウントで売上やコンバージョンを伸ばすために、どの入札戦略を使っていますか?
「目標コンバージョン単価」ですか?それとも「コンバージョン数の最大化」ですか?はたまた手動入札で自分の調整力しか信じないという方もいるかもしれませんね。
でもこの記事でお話したいのはValue Based Bidding(バリューベースビッディング)という考え方です。
Value Based Biddingとは
Value Based Biddingとは、直訳すれば「Value(価値)を基本とした入札」となりますが、広告運用で言うバリューは売上ですよね。つまり、コンバージョンでもクリックでもなく、売上を最大化できるように最適化する入札戦略のことです。
Value Based Biddingの入札戦略
売上を最適化できる自動入札戦略は下記の2つです。
- tROAS(ターゲットROAS)
- Google広告:目標広告費用対効果
「目標広告費用対効果」入札戦略について – Google 広告 ヘルプ - Yahoo!広告:広告費用対効果の目標値
自動入札タイプ「広告費用対効果の目標値」 – ヘルプ – Yahoo!広告 - Facebook広告:最小ROAS
最小ROASについて – FACEBOOK for Business ビジネスヘルプセンター
- Google広告:目標広告費用対効果
- MAX CVV(MAX Conversion Value:コンバージョン値の最大化)
- Google広告:コンバージョン値の最大化
「コンバージョン値の最大化」入札戦略について – Google 広告 ヘルプ - Facebook広告:バリュー最大化
バリュー最大化について – FACEBOOK for Business ビジネスヘルプセンター
- Google広告:コンバージョン値の最大化
tROASは、ROAS(投資した広告費に対してどれだけの売上を得られたか)の数値を目標として最適化していく入札戦略になります。たとえばtROASを200%に設定している場合、広告費の2倍以上の売上を達成できるよう入札単価が調整されていきます。
コンバージョン値の最大化は、指定している予算の範囲内で売上(コンバージョン値)を最大化できるよう入札単価が調整されていきます。
2021年には、Googleが「Search Quattro」というより良いアカウント設計・運用を目指すための概念を推奨するようになりました。その中の「Advanced Bidding」では、広告主からの評価も高く収益性の向上を図るスマート自動入札の導入が推奨されております。今までの目標コンバージョン単価やコンバージョン数の最大化だけでなく、売上拡大というマーケティングの目的に合わせた入札戦略を運用におけるKPIとして置くことが重要になります。そのためには、tROASもしくはコンバージョン値の最大化の入札戦略を選択することが重要になります。
必要要件
利用にはプラットフォームごとに要件が定められておりますのでご注意ください。
- Google広告
- コンバージョン値の最大化は検索キャンペーンのみ
- 対象コンバージョンに値を割り当てるよう事前に設定
- 対象キャンペーンで過去30日間にコンバージョンを15件以上獲得している(アプリキャンペーンは毎日10件[または30日間で300件]以上、ファインドキャンペーンは過去30日間に75件以上のコンバージョン[うち10件以上は過去7日間に発生したコンバージョン]が必要です)
- Yahoo!広告
- 利用できるのは検索キャンペーン、かつ広告費用対効果の目標値のみ
- 対象コンバージョンに値を割り当てるよう事前に設定
- 対象キャンペーンで過去30日間にコンバージョンを15件以上獲得している(推奨は50件以上、条件を満たしていなくても設定は可能)
- Facebook広告
- キャンペーンの目的が「アプリのインストール」「コンバージョン」「カタログ販売」のもののみ
- ピクセルまたはアプリSDKで売上を計測できる設定になっている
- 過去7日間に、バリューが計測できているコンバージョンは30件以上(アプリは15件以上)ある
- ウェブイベントの設定を行い、対象イベントでバリューへの最適化をオンにしている
【ゼロから解説】Facebook広告の合算イベント測定とドメイン認証~概要から設定方法まで~
※過去実績の条件があるように、各アルゴリズムがユーザー行動を予測するのに十分なデータ量と期間を与えてから、入札戦略を切り替えましょう。
Value Based Biddingの仕組みとメリット
ROASやコンバージョン値をもとに入札調整していくわけですが、ECだけでしょ?資料請求や来店予約のコンバージョンポイントは売上が発生しない(=コンバージョン値が発生しない)から使えないんでしょ?と思ってたりしませんか?
たしかに資料請求や来店予約だけでは、売上は発生しません。だからといってそういったコンバージョンに対して、tCPAやコンバージョン数の最大化などでやみくもに件数を増やすことだけに投資するのは、必ずしも収益性を高めるとは限りません。
そのため、バリューベースの入札戦略を取ることで、最終的にオフラインイベントでの売上につながっている見込みユーザーや経路を見極めて入札を強化していき、売上やROASを高めることに繋がります。
では、資料請求や来店予約のように計測するコンバージョンでは売上が発生しないものに対して、どうやってコンバージョン値を設定するのか、例を用いて説明します。
コンバージョン値の考え方と算出例
コンバージョン値は、成約までの各ステップに到達する比率から仮想的な価値基準を割り出すことができます。
来店後の成約で100,000円の価値を持つ商材の場合
- 成約に到達したものは売上が発生しますのでそこで100,000円の価値が発生
- 来店予約コンバージョンから来店・成約に至る成約率が50%の場合、来店予約コンバージョンは100,000円✕50%で50,000円の価値が発生
- フォーム画面に遷移したユーザーが来店予約を完了させる予約率が80%の場合、フォーム入力のマイクロコンバージョンは、次のステップの来店予約の価値50,000円✕80%で40,000円の価値が発生
このように成約に到達するまでのステップを整理し、各ステップへの到達状況を計測できる環境を整え、適切なコンバージョン値を割り当てます。
また、コンバージョンポイントが複数ある場合も、それぞれのコンバージョンポイントが成約に至るまでの割合を算出しておくことで適正なコンバージョン値を割り当てられます。そうすることで、売上につながる可能性の高いコンバージョンポイントを伸ばせるよう最適化されていきます。
他にも、商材自体が複数あり各プランで売上金額が異なる場合も、各コンバージョンポイントからどの商材への売上に繋がっているのかを把握しておくことで、割り当てるべきコンバージョン値の金額も変わってきます。
それらを適正に把握し割り当てていくことで、ROAS目標の達成や売上の最大化に繋がっていきます。
コンバージョン値の設定方法
Google広告
- ツールメニューから[コンバージョン]を選択
- プラスマークからコンバージョン作成画面へ移動
- コンバージョンの種類を選択
- ①1つのタグで1つのコンバージョンポイント、もしくは1つのタグで複数のコンバージョンポイントを計測するがコンバージョン値が同一の場合、値で[すべてのコンバージョンに同一の価値を割り当てる]を選択し、コンバージョン値として割り当てる金額を入力(下図参照)
②1つのタグでコンバージョンポイントごとにコンバージョン値を変動させる場合、値で[コンバージョンごとに異なる価値を割り当てる]を選択し、値の指定がない場合に使用するデフォルト値を入力(※1) - その他の項目を必要に応じて設定し作成
Yahoo!広告
- ツールメニューから[コンバージョン]を選択
- [コンバージョン測定の新規設定]からコンバージョン作成画面へ移動
- [1コンバージョンあたりの価値]で、コンバージョン値として割り当てる金額を入力(下図参照)
- その他の項目を必要に応じて設定し作成
Facebook広告
- すべてのツールから[イベントマネージャ]に移動
- カスタムコンバージョンメニューに移動し[カスタムコンバージョンを作成]をクリック
- [コンバージョン値を入力]にチェックマークを付け、コンバージョン値として割り当てる金額を入力(下図参照)
- その他の項目を必要に応じて設定し作成
※1
複数のコンバージョンポイントがありそれぞれでコンバージョン値を変更する場合、発行されたイベントスニペットでvalueパラメータ(コンバージョン値)を設定する必要があります。また、各コンバージョンポイントが行き着くサンクスページが共通の場合、動的に金額を吐き出すように設定し変数として受け渡す必要があります。
まとめ
Value Based Biddingという考え方は売上を獲りにいくための入札戦略であり、業種やコンバージョン経路、検討期間が異なるものであっても、各経路・コンバージョンポイントで適正なバリューを導き出すことで、ROAS目標の達成や売上の最大化を実現することができます。
また、来店誘導型や成約までの検討期間が長いサービスなどは、最終的な売上が発生する成約の段階ではオンライン上の計測ができないことが大半となり、どのチャネルやターゲティングでの費用対効果がよいのか明確に判断できないことも多いと思います。
その際に必要になってくるのがオフラインコンバージョンやFacebook広告のコンバージョンAPIなどの活用ですので、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。