GoogleやYahooの検索連動型広告では、キーワードのマッチタイプが重要な役割を担っています。
特に部分一致・絞り込み部分一致のマッチタイプを正しく理解していないと、広告の効果を最大限に発揮できていないと言っても過言ではありません。
その一方で部分一致と絞り込み部分一致の使い分け方が良くわからない方もいるでしょう。
そこで今回は検索広告成功のカギとなる部分一致と絞り込み部分一致を掘り下げて解説して行きたいと思います。
今回、主に説明する内容は以下の3点。
- 部分一致、絞り込み部分一致の概要
- 部分一致、絞り込み部分一致の効果的な使い方
- 部分一致の良い例・悪い例
本記事を見ることで、部分一致・絞り込み部分一致の理解が深まります。
是非、最後までご覧ください。
【重要】
2021年7月より絞り込み部分一致は廃止され、フレーズ一致へ統合する事となりました。
現状、部分一致・フレーズ一致・完全一致の3つのマッチタイプを設定可能となっております。
キーワードのマッチタイプについて – Google 広告 ヘルプ
絞り込み部分一致の廃止により、従来のフレーズ一致の精度と、廃止された絞り込み部分一致のリーチを併せ持った新たなフレーズ一致となりました。
従来のフレーズ一致よりも拡張性に優れ、廃止された絞り込み部分一致に比べやや制限が強くなっています。
例えば、フレーズ一致キーワード「引越しサービス 東京から神奈川まで」の場合、「格安 引越しサービス 東京から神奈川まで」などに一致する点は変わりませんが、これに加えて、従来は絞り込み部分一致でしか一致しなかった「東京の企業 引越しサービス 神奈川まで」などにも一致するようになります。
新たなフレーズ一致でも、語順がマッチング動作に反映される点は従来どおりで、語順が異なるため意味も異なる検索内容(たとえば「神奈川から東京まで」の引越しに関する検索)は、広告表示の対象とはなりません。
フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について – Google 広告 ヘルプ
目次
部分一致の概要【例も交えて紹介】
部分一致とは、キーワードのマッチタイプの1つです。
登録したキーワード・もしくはそれに類する(誤字も含む)語句が、部分一致に該当し、広告が表示されます。
この際、キーワードに2語以上の単語を含むことが多いです。
例えば単語の順番は関係なく「佐賀 病院」という部分一致キーワードで登録したとしても、「病院 佐賀」で登録したとしても広告が表示される検索語句は変わりません。
つまり、どちらの部分一致キーワードで設定しても全く一緒、ということです。
それでは部分一致キーワードを入れ、いくつかの検索語句で広告が表示される・されない場合の一例を紹介します。
ex)部分一致キーワード:「佐賀 病院」を登録した場合
キーワード | 広告表示されるか(○or×) | 補足 |
佐賀 病院 | ○ | |
病院 鳥栖 | ○ | 鳥栖は佐賀県内にある地域 |
佐賀 内科 | ○ | 内科は病院に包含される |
福岡 病院 | × | 福岡は佐賀県外のため、包含されない |
佐賀 スーパー | × | 病院とスーパーは類語と判断されない |
「佐賀 病院」の場合、基本的には以下の組み合わせキーワードであれば広告が表示されます。
【佐賀県内の地域・地名】×【病院の種類(内科・外科・眼科など)】
また、
- 佐賀県外の地名
- 病院以外の施設
などの場合は、表示されません。
ただし、Googleは例外としてユーザーと関連性の高い広告を表示するために、ユーザーの最近の検索内容も考慮に入れられると記載されており、上記パターン以外でも広告が表示される場合もあります。
部分一致は、(中略)ユーザーと関連性の高い広告を表示するために、ユーザーの最近の検索内容も考慮に入れられる場合があります。
キーワードのマッチタイプについて – Google 広告 ヘルプ
つまり部分一致は、設定したキーワードに対して「自動的にターゲティングしてくれる機能」のようなものです。
このように、部分一致の類語はAIが最適化してくれるので、「佐賀 病院」というキーワードが「佐賀の病院を探している」と認識されれば、
- 佐賀にある病院名
- 「症状名」+「対処法」(位置情報が佐賀県の場合)
上記のようなキーワードでも、広告が表示されます。
ユーザーの最近の検索意図が反映されるのであれば、キーワードの除外設定はしないほうがいいんじゃないか?という声もあるかもしれません。
しかし、最近の検索意図が反映されるからといってクライアント様から
「なんでこんなキーワードでうちの広告が出ているんだ」
と指摘を受ける可能性もあるので、関連性の薄いキーワードは随時除外設定を行ったほうが良いです。
それだけでなく、適宜除外設定を行わないとクリック率(CTR)の低下やコンバージョン単価(CPA)も悪化する要因となり兼ねないので注意しましょう。
部分一致のメリット・デメリット
メリット
- 自分で思いつかないようなキーワードで広告配信される
- キーワードを考える工数が削減される
- 安いクリック単価でも流入が見込める
デメリット
- ユーザーの意図から離れたキーワードで広告が配信される場合がある
- 確度の低いユーザーの流入が増え、広告費を無駄に使う可能性もある
- 都度除外設定を行う工数が増える
絞り込み部分一致【概要・部分一致との違い】
絞り込み部分一致も、マッチタイプの一つのことを指します。
部分一致よりも、より絞ったキーワードでのみ広告を配信するので、絞り込み部分一致と呼ばれています。
部分一致と同じくキーワードの語順は順不同で良く、2語以上のキーワードで語順入れ替えしても広告が配信されるユーザーに変化はありません。
部分一致と大きく異なる箇所は、
「基本的に登録したキーワードを含む検索語句でしか広告が配信されない」
ということです。
部分一致は、キーワードに関連性のあるものであれば広告が配信されますが、絞り込み部分一致ではそういったことはありません。
絞り込み部分一致キーワードは、設定するキーワードに「+」をつけたものになります。
例えば、「佐賀 病院」であれば、「+佐賀 +病院」と設定するのが正しいです。
また、Googleヘルプによると「+」が指定された個々の語句の類似パターンや、語句を1つのキーワードに組み合わせたものに対しても広告が表示される可能性があるとのこと。
「+」が指定された個々の語句の類似パターンや、語句を1つのキーワードに組み合わせたものに対しても広告が表示される可能性があります。
絞り込み部分一致(従来動作) – Google 広告 ヘルプ
具体的には、「+佐賀 +病院」というキーワードで配信した場合、ユーザーが打ち間違えて「sag 病院」などで検索し、Googleがよくある打ち間違いだと認識していれば、語句の類似パターンと見なされ広告が表示されます。
また、「+佐賀の病院」など語句を組み合わせたキーワードで設定していても、「佐賀 病院」と検索すれば広告は表示されます。
ただし、「嵯峨 病院」など、嵯峨とつく病院は日本にいくつもありますので、この場合は広告が配信されない可能性が高いでしょう。
絞り込み部分一致のメリット・デメリット
メリット
- ユーザーの意図とあったキーワードで広告が配信されやすい
- 部分一致より広告のクリック率が高くなりやすい
デメリット
- コンバージョン機会を損失する可能性がある【部分一致でしか拾えないキーワード】
- 成果の拡大を測りにくい
どっちを使う?部分一致と絞り込み部分一致【最大限効果を発揮する方法】
どちらか一方を使うとするなら、絞り込み部分一致を使ったほうがいいでしょう。
部分一致はどうしても入稿したキーワードを拡張しすぎている印象を受けます。
例えば、実際に事例として以下のようなものがありました。
- 部分一致キーワード:建設 年収
- 実際に流入した検索クエリ:プログラマー 年収
プログラマーや他業種の会社名が、建設と類似するキーワードと見なされる、もしくはユーザーの最近の検索行動を元に表示されているならばちょっと拡張されすぎだな、と感じます。
特に、予算が限られているクライアントで部分一致を積極的に活用すると、関連性の薄い検索語句で流入が増えて管理が大変になることも…。
そのため、まずは絞り込み部分一致を優先して広告運用することを心掛けたほうがいいでしょう。
部分一致はどんな時に使うべき?【おすすめパターン紹介】
前節でまずは絞り込み部分一致を使うべきだと述べましたが、「じゃあ部分一致ってどんなときに使えばいいの?」と思う方もいるかもしれません。
部分一致を使うならば、ある程度予算に余裕があるときに導入するのがおすすめ。
そのうえで、部分一致を使うべきおすすめのパターンを紹介します。
キーワードが思いつかない(業界の知見が少ない)
ジャンルによっては、キーワードが思いつかなかったり、自分で調べて設定したキーワードに不安を覚えることもあるでしょう。
そんなときは、運用初期に部分一致で設定してどんなキーワードで流入するかを見るのも一つの手です。
なので、もしその業種に知見がなかったり自信がない場合は予算の都合に合わせて部分一致で配信するのも有効だと私は考えます。
ユーザーの幅を広げたい
部分一致で流入するキーワードの中には、私たちが予想もしないような検索語句で流入することもよくあります。
その中には、成果をコンスタントに獲得できるようなお宝キーワードと巡り合うことも。
絞り込み部分一致ではなかなかできない、キーワードによって潜在ユーザーを拡張できる効果も見込めます。
もちろん、関連性の薄いキーワードでも流入があることは事実ですが、それ以上にユーザーの拡大は大きなメリットではないでしょうか。
・部分一致の例【良い例・悪い例を紹介】
部分一致の良い例と悪い例を紹介します。
あくまで一例であり、クライアントがどういったターゲット層に広告を配信したいかなどによって異なるので、あくまで参考程度にお願いします。
部分一致の良い例
①地域のみ、部分一致設定を行う
例:「+永代供養 佐賀県」「+アルバイト 佐賀市」
②拡張幅が小さい、複合語の組みあわせ
例:「歯医者 治療」「野菜 宅配」
部分一致の良い例として、意味が広がりすぎない語句で使うことです。
「+アルバイト 佐賀市」であれば、アルバイトという語句が含まれている市内の町名などでも一緒に広告配信してくれます。
駅名や地域特有の呼び名や括りなど、その地域に詳しくなくても拾える掛け合わせがあり、特にYahooでは田舎だと細かな地域ターゲティングができないのでおすすめです。
また、「合鍵を作る」「プログラマーになりたい」など、より具体的な方向性を決めたキーワードを設定することで、かなり効果的に部分一致を使用できるように感じます。
部分一致の悪い例
①単一キーワードでの配信
→例:「建築」「病院」「転職」など
②意味が広い言葉
→例:「パソコン 仕事」「社会人 年収」など
一方、部分一致の悪い例としてはいい例の逆で「意味が広がりすぎる」語句で配信すること。
「パソコン 仕事」という部分一致キーワードで配信すると、「プログラマー 求人」などの専門的な仕事や、「エクセル 資格」などパソコンの仕事に活かせそうな資格を取得する方法などで配信される可能性もなくはありません。
部分一致と絞り込み部分一致を併用する
これまで部分一致と絞り込み部分一致、どっちがいいか?ということを説明しました。
どちらにもメリット・デメリットがありましたが、一番良いのは部分一致と絞り込み部分を併用すること。
なぜなら同じキーワードの絞り込み部分一致と部分一致を両方配信することで、ユーザーの取りこぼしがなくなるからです。
同じキーワードテキストの部分一致と絞り込み部分一致を入稿する場合でも、同一広告グループに入稿する(例「佐賀 病院」「佐賀 +病院」)と「完全一致 > フレーズ一致 > 部分一致の順で優先的にオークションにかけられる」ので、
絞り込み部分一致キーワードで狙った検索語句を拾い、それでも拾いきれない検索語句を部分一致で拾うといった使い方が自然と可能となっています。
キーワードの設定方法【部分一致・絞り込み部分一致】
Google,Yahooそれぞれのキーワード設定方法について説明します。
※冒頭でも記載した通り、絞り込み部分一致は廃止され、現在はフレーズ一致に統合されております。
フレーズ一致キーワードを設定する場合は「”〇〇”」の様にダブルクォーテーションを使用して設定を行います。
Googleのキーワード設定方法
①管理画面にアクセス後、「キーワード」をクリックする
②「+」ボタンをクリックし、設定するキャンペーン・広告グループを選択する
③キーワードの追加画面で、部分一致・絞り込み部分一致のキーワードを登録
Yahooのキーワード設定方法
①Yahooの管理画面へアクセスし、表示内容「キーワード」を選択する
②「+キーワード作成」をクリックする
③キーワードを追加するキャンペーン・広告グループを選択し、入力する
④全て入力が終わったら、保存するとキーワードが追加される
まとめ
部分一致と絞り込み部分一致について紹介しました。
部分一致も絞り込み部分一致もそれぞれ特徴があり、併用して運用したり、それぞれで運用する場面があるでしょう。
キーワードは広告の成果に直結しやすい部分ですし、マッチタイプをしっかり考えた上で広告配信すると成果が倍増することも。
もし、「どうしても成果が伸びない・もっとユーザーの幅を拡張したい!」という方は一度キーワードのマッチタイプを見直してみてはいかがでしょうか。