みなさんこんにちは。
毎日リスティング広告の運用をしていてふと思ったのですが、皆さん広告の掲載順位が決定する仕組み(=ロジック)について正しく理解できてますか?
今回の記事タイトルから、「掲載順位=入札単価×品質スコアでしょ?」と思われた方は、厳密に言うと間違ってます。今回はそのあたりの内容を深く掘り下げて、一緒に考え、私も皆さんも理解が深めていけたら良いな、と思い本テーマをブログに起こすことにしました。
本記事を通して広告の掲載順位が決定する正しい仕組み(=ロジック)が浸透できたら幸いです。
※既に「理解してるよ」という方も復習や間違い探しなどの意味で一読していただけると嬉しいです。
では早速、自分自身のための備忘録も兼ねて、Google広告における掲載順位の基本的な仕組み(=ロジック)についてお話したいと思います。
目次
1.広告の掲載順位はオークションによって決定する
全ての広告は、広告オークションによって掲載の可否や掲載順位(検索の1ページ目最上部だったり、最下部だったり)が決まります。また、広告オークションはユーザーが検索するたびに毎回リアルタイムで行われています。
そして、広告オークション時に使用されるものが広告ランクです。全ての広告は、広告オークションのたびに広告ランクが算出され、広告ランクをもとに掲載順位が決定されます。
広告ランクの主な構成要素としては大きく5つあります。
1.入札単価
2.広告とランディング ページの品質
3.広告ランクの最低基準
4.ユーザーが検索に至った背景(コンテキスト)
5.広告表示オプションやその他の広告フォーマットの効果
つまり、検索ユーザーにとって最適な広告が掲載されるように、様々な要素をGoogleが計算・判断しています。
本記事内で全ての構成要素についてお話すると、話が発散してしまい伝えたいポイントがズレてしまうため、今回は構成要素を「入札単価」と「広告の品質」という2つに絞ってお伝えしようと思います。
(「入札単価」や「広告の品質」については後ほど説明いたします。)
2.オークション時に使用される構成要素(広告ランク、広告の品質、入札単価)
前述した通り、広告オークション時は広告ランクによって掲載順位が決定されます。
そして、広告ランクの構成要素としては「入札単価」と「広告の品質」です(※本記事では、広告ランクの構成要素を簡略化してお話ししております)。
入札単価とは、広告1クリックに対して最大いくらまで支払えるか、こちらから指定する金額の事です。入札単価を上げれば、その分広告が上位に掲載される可能性が高まります。
広告の品質とは、ユーザーに対してその広告が有益か否か、Googleが判断し算出しているものです。ユーザーと一言でいっても、検索に使用している端末や所在地、時刻など様々なシグナルが用いられますし、そのユーザーに対して広告やランディングページ(リンク先のウェブサイト)がどれほど的確で有益であるかが判断基準となります。
ちなみに、広告の品質は管理画面などで数値化されたデータとして確認できるものではありません。或いは、「数値化できない」といった方が正しいのかもしれませんね(いつかGoogleの中の人に聞いてみたいものです)。
※本記事内では、広告の品質のことを広告とランディングページの関連性に着目して記載しますが、実際のオークションでは、そのほかにも検索しているユーザーの端末や所在地、時刻など様々なシグナルが用いられているという事は忘れないでください!!
(補足)
広告の品質と似ている指標で、品質スコアという指標があります。品質スコアはキーワード毎に10段階の指標で数値化されます。ただし、広告の品質≠品質スコアです。広告の品質は広告に関するリアルタイムな指標であり、品質スコアは過去のデータから導き出したキーワード毎の参考値です。品質スコアは実際の広告オークションには使用されておりませんので、あくまで参考値として取扱ください。
そして、広告ランクは大雑把に言うと下記の計算式で算出される、と考えられます。
(こちらは正確な情報が媒体から提示されているわけではないため憶測となりますが、あながち間違ってないように思います。)
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質
3.ユーザーが検索してから、実際に広告が表示されるまでの流れ
先ほど、広告オークション時に広告ランクによって掲載順位が決定されるとお伝えしました。では、ここからは、Googleで実際に広告が掲載されるまでのロジックについて考えましょう。
ココでは検索連動型広告を例に話を進めていきます。
まず、広告オークションが開催されるきっかけは「ユーザーが検索している語句(クエリ)」です。ユーザーがクエリを入力し、検索を実行した時から始まります。
この時、クエリを元にGoogleが一番最初に探索するのが広告です。Googleに限らず、検索エンジンはユーザーが知りたい情報をタイムリーに開示する事が目的のサービスであり、当然といえば当然です。ですので、広告に記載している情報は(皆さんが思っている通り)、当然広告の品質の1要素となります。
そして、掲載候補の広告が決定すれば、次はキーワードです。いくらユーザーに有益な広告であろうとキーワードが登録されてなければ「このアカウントのターゲットユーザーではない」と判断され、広告は配信されません(この時点でオークションから脱落ですね)。また、この時にキーワードや広告グループで設定している入札単価の情報を取得し、広告ランク算出の1要素として使用します。
そして最後に広告のリンク先(ランディングページ)との関連性を見ます。いくら広告が優れていても、広告をクリックした先が全然関係無いページだったら、ユーザーもがっかりしますよね。なので、Googleはその辺の事も抜かり無くチェックし、広告の品質の1要素として使用してます。
広告掲載までのロジックをまとめますと、下図のように表現できます。
図中上の青いルートが正しいロジックのルートです。
図中下の橙色のルート(クエリ→キーワード→広告文…)というロジックでGoogle広告が動いていると勘違いされてた方も多いのではないでしょうか?順番を間違えると、これからお話する広告の品質に対する施策の考え方が変わってしまう可能性がありますので、正しいロジックを理解し改善していきましょう。
また、実は広告フォーマット(広告表示オプションの有無など)によって広告ランクに加点が与えられます。ですので、さきほどの数式に広告フォーマットの加点分を追加しておきましょう。
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質 + 広告フォーマット
Google広告では、ここまでの一連の流れが、何かユーザーが検索するたびに毎回リアルタイムで瞬時に行われております。(これらを瞬時に検索結果に反映できるGoogle広告って素晴らしいですよね。)
そして、前述した広告ランクによって、広告の掲載順位が決定します。入札単価を上げれば、その分競合他社の広告より上位に掲載できる可能性は高まりますが、逆を言えば、広告の品質が競合他社より高ければ入札単価は低くても競合他社より上位に掲載できる確率が高い、とも言い換えれます。
4.適切なユーザーに広告配信を行い、広告の費用対効果を最大化するためには
広告オークション時のロジックについて理解が深まった所で、ココからは広告運用者として、広告の費用対効果をより高めるための取り組みを一緒に考えていきたいと思います。
が、話を進める前に、ココで言う「広告の費用対効果を高める」という事がどういう事を指しているのか、をまず定義したいと思います。
それは、「お客様からお預かりしている広告予算内で、適切なターゲットへ広告を配信し、お客様の売上を最大化すること」です。また、これを考える上でお客様のターゲット層(=つまりキーワード)は変更しない事として話を進めます。
(※キーワードも費用対効果を考える上で重要な要素ではありますが、それは別の機会にお話させてください。)
それでは、「お客様からお預かりしている広告予算内で、適切なターゲットへ広告を配信し、お客様の売上を最大化すること」のためには何が必要でしょうか?
それは、お客様が扱っている商品やサービスを求めているユーザー、つまり購入してもらえる可能性の高いユーザーに対して、確実に広告オークションに勝ち、広告を届ける事だと考えます。
そして、確実に広告オークションに勝っていくためには何をする必要があるのか?
その答えは、広告ランクの計算式の中にあります。
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質 + 広告フォーマット
この計算式を、もう少し具体的に考えてみましょう。
まず、広告ランクについて。
広告ランクは広告の掲載順位に関わる指標ですので、この数値が下がると掲載順位が下がり、広告をクリックされる確率が下がる傾向にあります。また、購入に繋がりやすい重要なキーワードでクリックされる確率が下がれば、機会損失に繋がります。よって、(特に重要なキーワードについては)広告ランクの数値は高い方が良いです。
次に、入札単価。
こちらは適切なユーザーにより安価なクリック単価でサイトへ多く訪問してもらえる方が売上の向上につながる可能性が高いと考えます。よって、数値としては小さい方がより良いです。
最後に広告の品質について。
こちらは小さい数値の方が品質として低く、数値が大きくなるにつれて品質が高くなります。
これらを踏まえると、下記の図に記載した通り、広告の品質を高めないことには広告の費用対効果は下がってしまうという事になります。
ちなみに、Googleのヘルプページにも以下の記載があります。
前置きが長くなりましたが、私が言いたかったのは、
広告の費用対効果をより高めるためには、広告の品質を高める事が重要であるという事です。
5.広告の品質を高めるための施策
では、さっきからしつこく言っている広告の品質を高めるためには何をすれば良いのでしょうか?
こちらもGoogleのヘルプページを参照すると以下の記載があります。
これ以外にも重要な要素はありますが、「広告品質の核心とも言える要素」と表現があることからも、「ユーザーの意図との関連性の高さ」が最重要項目である事は間違いありません。
では、「ユーザーの意図との関連性の高さ」を高めるために、広告運用者としてどような施策を講じれば良いのか?
弊社内でも、日々あーでもないこーでもないとお互い相談しながら、主に広告の品質が高まるように試行錯誤を繰り返しております。その中の一部にはなりますが、ブログにまとめているものもありますので、ご参考になれば嬉しいです。
1.ターゲット層に応じて広告訴求文を変えてみる
こちらは、広告文で用いるフレーズについて、ターゲット=女性という視点で考え抜いた記事になります。
家計の決済権は女性、というご家庭も多いでしょうし、特に女性向けの商材に関しては特に参考になると思います。
2.広告カスタマイザーを用いて、ターゲット層ごとに広告文の表示を動的に切り替える
こちらは、ユーザーが検索している語句に反応するキーワードやユーザーの所在地、ユーザーが検索している日付・時間などの情報を元に、動的に表示する広告文を切り替える事ができる機能です。
ユーザーの検索意図とより関連性の高い広告文を表示することができるため、現在多くのアカウントで使用されてるのではないでしょうか?
3.レスポンシブ検索広告を用いて、Googleに複数の広告文を自動テスト&最適化して貰う
こちらは、2019年8月現在ではまだβ版の機能になりますが、複数のアセット(広告見出し&説明文)を登録すると、あとはGoogleがユーザーの検索意図に合わせて広告文を自動で作成し表示してくれる機能です。
ユーザーの検索意図とマッチしてるかを判定してるGoogleに広告文の組み合わせを考えてもらえるのだから、当然、ユーザーの検索意図とマッチした広告が配信される可能性が高い機能であると言えるでしょう。
試行錯誤を繰り返す事で、広告の費用対効果を大きく向上させる可能性があり、今後主流になっていく可能性を秘めた広告タイプです。
そのほかにも、新しい広告フォーマットに対応する事で広告の視認性が広がり、クリックされる可能性が高まりますし、広告表示オプションの一つであるサイトリンクを用いる事で、ユーザーが一番欲しい情報が載っているページへランディングさせる事ができ、ユーザーの利便性向上が期待できます。
ただし、どのような施策でも提案したり取り組む際に意識してほしいのは、
「ユーザーの意図との関連性の高さ」です。
いくら良い広告文を思いついたからといって、ランディングページとの関連性が薄ければその広告は評価されません。常に、ユーザーにとってどのような広告が目を引き、そして広告をクリックした先のランディングページにはユーザーにとってどれほど有益な情報があるのか、を考えながら広告の品質を高める施策につなげていきましょう。
今の所、広告の品質を高める施策に正解などないです。
しかし、いついかなる時も、自分なりに、もしくは先輩や同僚と一緒に仮説を立てながら施策を実行していく、また得られた結果から仮説は合っていたのか、間違っていたとしたら何がダメだったのかを考え次の施策の材料にする、これを繰り返していく事で、広告の品質を高める事に対して割と確度の高い再現性が得られる、と思っています。
何度も言いますが、今の所、広告の品質の高める施策に正解などないです。
そして、世の中は今この時も常に変化し続けております。変化する世の中に対応しながら、確度の高い再現性を得るために仮説を持って施策を打ち、結果を分析して次の施策を(もう一度仮説から)考える、まさに広告の品質を高めるためにはPDCAを回し続けてより良くなるように考え続ける事が大切だと思っております。
6.品質スコアのよくある間違い(FAQ)
最後に、広告の品質と品質スコアは同じ、、、と間違って覚えてらっしゃる方をたまに見かけますので(私も勘違いしてた)よくある間違いについて、これを機にいくつかまとめておきたいと思います。
※本内容は、もし皆様からフィードバック頂ければ随時アップデートしていきたいと考えております。素朴な疑問でも何でもいいので、ご意見頂けると幸いです。
1.広告の品質=品質スコア?
Googleの管理画面を見ると、「品質スコア」という指標がありますが、品質スコアと広告の品質は異なります。
「品質スコア」は、キーワードと完全に一致した語句で検索された時に、そのキーワードに対応する広告が表示された場合の品質を10段階で表した推定の数値です。
※実際のオークションで使用される数値ではありません。
また、あくまで「品質スコア」はキーワードと完全に一致した語句で検索された時の推定の数値ですので、完全一致のキーワードは品質スコアと実際の品質は近似する傾向にありますが、部分一致など完全一致以外のキーワードでは品質スコアと実際の品質は近似しない場合もあります。
2.入札単価を上げると広告の掲載順位が上がるため、推定クリック率が上がり広告の品質や品質スコアも上がる?
推定クリック率という新しいワードが登場しましたが、これは過去の掲載結果から導き出された広告がクリック率される確率(推定値)です。
推定クリック率は掲載順位によるクリック率の上下も加味されているため、入札単価を上げる=掲載順位が上がり推定クリック率も上がる、と思われがちですが、そうではありません。
当然、掲載順位が高い(1位)の方がクリック率も高くなる傾向にあるため、Googleは順位による影響も加味した上で広告の品質や品質スコアを算出しています。
もしも、推定クリック率が掲載順位による影響を加味せずに算出されているのであれば、広告の品質や品質スコアを上げるために入札単価を高額にして競争しあう、マネーゲームが始まってしまいますよね。
そうならないようにGoogleはしっかり入札単価と品質に関する指標は区別して取り扱っているのです。
3.部分一致のキーワードは意図しないユーザーに対しても広告が表示される可能性があるため、完全一致のキーワードと比べクリック率が下がる傾向にあり、品質スコアも下がる傾向にある?
さきほども述べた通り、「品質スコア」はキーワードと完全に一致した語句で検索された時に、そのキーワードに対応する広告が表示された場合の品質を10段階で表した推定の数値です。
ですので、部分一致のキーワードが拡張され、こちらが意図しないユーザーに対して広告が表示されたとしても、その人がクリックしようがしまいが品質スコアには全く影響ありません。よってこの問いは間違いです。
4.関係のない検索語句で広告が露出されてしまうと品質スコアに影響があるので、除外キーワードを登録し関係のない検索語句での広告の露出を減らす事で、クリック率が上がり品質スコアも上がる傾向にある?
この問いも間違いです。そもそも除外キーワードは品質スコア算出の要素に含まれない(※)ため、除外キーワードの登録有無が品質スコアに影響を及ぼす事はありません。
ただし、除外キーワードを登録する事で、無駄な広告露出が減り、クリック率やお客様の売上に繋がりやすくなるでしょうから、アカウントの成果向上のためには必要な効果的施策と言えます。
※登録キーワードと異なる検索語句でのクリックは品質スコアに考慮されません。
7.まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は、広告の掲載ロジックから始まり、広告の品質の事など色々な話をさせて頂きました。
その中で、私が結局一番伝えたかったのは
「ユーザーの意図との関連性の高さは、広告品質の核心とも言える要素」
という事です。
日々多忙な中運用していると、ついつい小手先の対応だけで満足しちゃってませんか?
本記事が、広告の掲載ロジックについて改めて考え、正しく理解するきっかけとなり、また「検索ユーザーの事」、「お客様の商品の事」について改めて考え、ユーザーからもお客様からも感謝されるような、そんな運用者になりたい!と思って頂けるようなものになれてれば幸いです。
私も皆さんに負けないように頑張ります!共に高みを目指していきましょう♪